ふできちインタビュー

菖蒲の咲き乱れる6月、作家・椿崎先生のお宅に伺い、創作活動の風景を撮影させて頂きました。
透き通る露の涼しげな緑を通り抜け、和の玄関から書斎へと上がると、御縁に並べられた盆栽が枝葉の美しい影絵を作っています。
壁には先生の作品がずらり。大きな墨絵の屏風は線画から竹の匂いが伝わってくるような力作です。

素敵なお住まいですね。こちらでいつも書に向かわれているのですか?

− 1階か2階で書いています。1階では生徒さんに文字や絵手紙などを教えていることが多いですね。そこの障子の絵も自分でかきました。
即興でテーブルクロスを書いたり、小さな屏風を書いたり楽しんでいます。

素晴らしい色使いですね!
「代筆屋ふできち」では署名を筆文字で販売していますが、人の名前を書に改めるときに注意される点は何ですか?

− 表札など頼まれることがありますが、人の名前というのは、まずは読めないといけません。遊びすぎないように、パッと見て何の文字かわかるように気をつけて書いています。ですからお名前についてはきっちりしっかりやりますよ。

ワープロパソコンなどが作り出す機械的な文字と、筆が生み出す文字の違いは何でしょうか?

− やはり「温かみ」ですね。文字のルーツをたどれば、もともとは絵ですからね。機械的な文字は広がりを感じないけれど、手書きすると色んな思いを文字に込めることが出来ますね。

書のプロが考える「美しい名前」とは何でしょうか?

− 響き、ぱっと見たときの形ですかね。

女性の名前、男性の名前、性別によって書き方を変えたりしますか?

− 女性は細めでやわらかい感じ、男性は太めで力強く書きますし、実際そのようなご依頼が多いです。

一番好きなご自分に馴染む文字はありますか?

− 花鳥風月、漢詩などです。

書のプロとして日頃気をつけていることがあれば教えて下さい。

− いつも筆で遊んでいるとわかってくるのですが、紙と墨の相性は大きなポイントです。墨はお料理みたいに、成分を調整します。菜種油や松の油などの調合してあぶり、そのすすを膠(にかわ)で練っていきます。墨を磨って2,3日寝かせると粒子が粗くなり、文字に味が出ます。


今後ご自身の創作活動はどのような点を注力されていかれますか?

− キャンバスは紙だけではなく、Tシャツを筆でアレンジしたり、ガラスのお皿にも書いたりしており、居酒屋の壁にそのまま書くときもあります。今後も筆の可能性を広げて行けたらと思っています。感性で瞬間を切り取る遊びがすきなので。
友人へのちょっとした贈り物には、気持ちを込めてイラストと一言メモをつけています。また、お菓子の包み紙を取っておいて、作品にする時もあります。再利用の大切さを伝えていければと思って。

最後に座右の銘をお教え下さい。

− 「柳は緑、花は紅」です。あるがままの姿に徹し生きることは素晴らしいことです。花は色とりどりに咲き誇り自然に営みを任せています。他人と比較してあれこれ悩む事をやめ、自分にとって当たり前にある事を大切にして毎日を感謝しながら生きたい。そんな思いからこの言葉を選びます。 (終)

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